植物は太陽光を浴びて、無機物から有機物を作り出す。それが植物だけに備わった天性の才能、光合成だ。 海の中にも植物や植物プランクトンは生息する。 けれども、海底深くなると話はちがってくる。 太陽の光は海の底深くまでは届かない。海洋深層水はまっくら闇である。太陽が届かないと、植物の才能である光合成のスイッチが入らない。すると植物たちは栄養である無機物を摂ることはしない。 無機物すなわちミネラルだ。海底には、表層から降り下りてくる大量の、良質のミネラルが集まる。けれども、植物プランクトンによって使われることがないため、豊かに溜まる。単一のミネラルというよりも総合的なミネラルの花畑というイメージだ。ミネラルはビタミン同様、からだの機能の維持や調節に欠くことができない栄養 素だ。でありながら、自分の体内で作り出 すことができない。そう、海洋深層水の「秘めた力」の代表 ともいえるのが、「ミネラルの花畑」なの だ。海の底深く、悠然と静かにその花畑の 広がることで知られる地がある。室戸岬 だ。1986年、科学技術庁(当時)の援助 を受け、高知県室戸市三津に高知県立の深層水研究所が生まれた。日本初の本格 的な深層水利用の研究施設だ。 室戸は海洋深層水の数多くの成果を世に届けてきたが、いま、さらなる研究が進み、実を結ぼうとしている。